信託銀行の議決権行使の集計に関する不祥事

信託銀行が、企業の株主総会の議決権行使の集計を適正に行っていなかったことが明らかになったという報道がありました。

実は、私は大学卒業後に新卒で入社した信託銀行で、主に上場企業の株主名簿の管理を行う証券代行部門に配属された関係で、総会シーズンの6月になると議決権行使書の集計の手伝いに駆り出されて、報道されている期限内に到着した議決権行使書の一部を集計から除外する慣行に触れました。

当時、新人の私は大学で会社法を学んだ経験もあり、上司におかしいのではないかと訴えましたが、そういうものだと一蹴。
私は銀行員には向いていないと悟るとともに、慣行が白日の下にさらされ、問題になるのは必定と思いましたが、あれからずいぶん時間が経ちました。

告発を考えたこともないわけではなかったのですが、一緒に働いた仲間に迷惑をかけるのは本意でなく、また内部で自浄作用が働いて、もうやってはいないのではないか、と期待していたのですが、そうではなかったようで残念です。

私が士業としてお手伝いすべきでないと考える仕事をお断りするのは、本意でない仕事をやるならば、安定した(と一般には思われている)勤め人を続けたのと変わらないではないかと思うからでもあります。