リニア建設問題・・行政上の許可権限の視点から

いろいろマスコミを賑わせているリニア建設問題、南アルプスのトンネル区間の工事に着手できないことに憤りつつも、問題の原因である静岡県知事の許可権限が何であるのかこれまで具体的には知らなかったので、調べてみたところ、河川法24条に基づく河川管理者からの占有許可であるらしいことが分かりました。

大井川は一級河川ですが、河川法9条の規定により、一級河川のうち、国土交通大臣が指定する区間については、管理が都道府県知事に委任されるところ、大井川は下流部分は大臣管理であるものの、上流部は指定区間として静岡県知事に管理が委任されているようです。

という事は、理論上は国交省が大井川上流部のリニア工事区間を指定区間から外して、JR東海に大臣の許可を与えれば、工事は行えるということになります。

今まで、なんとなく静岡県知事の問題で、立法でもしない限り解決できないのだと思ってきましたが、調べると国交省の問題であることが分かりました。

もちろん簡単にいかない事情はあるのでしょう。法令でもあらかじめ知事の意見を聞かなければならないとされていますし、知事の反対を無視して手続きを進めることは通常ないはずです。

しかし、通常でないことが今起きている以上、法令上許されているのであれば、前例にとらわれず対処をとるべきでしょう。

リニア工事はJR東海の事業ですが、国も財政投融資の枠組みで3兆円という多大な金額を貸し付けています。これだけの資金を投入しながら、国として出来ることを十分していないのは、国交省の怠慢です。

国交省は、さんざん失敗してきて先が見通せない知事の説得ではなく、実効性のある対応をとるべきではないか、と許認可手続きを調べて感じました。