ファンドとは?その仕組み、種類

ファンドとは?その仕組み、種類

ファンドとは

「投資ファンド」というものが世の中に知られるようになってから随分経つように思いますが、その割にどういう仕組みなのかはっきりと知っている人は、かなり少ないように思います。

1番広い意味で言いますと、投資家からお金を集めて、その集めたお金を何かに投資し、収益を分配するようなものを指して広くファンドと呼ばれます。
ただ、ファンドと一言で言っても様々な種類のものがありますので、それを具体的に以下でご紹介したいと思います。

ファンドの種類の全体像

主なファンドの設立形式

ファンドの設立には大きく以下の3つの形式に分類されます

以下の説明のうちは、作るために金商法だけでなく、()内に記載した特別の法律に基づく手続が必要なものです。参考のために掲載していますが、個別の法律の要件をクリアする必要があるため、このサイトで詳しく説明している集団投資スキームよりも組成の難度が上がります。

①組合型

組合型は、各種の契約に基づき投資家が出資をする形態のファンドです。共通する特徴として、法人格はありません。主なものとして、次の4種類の組合があります。

民法組合(民法667条の組合契約により成立)
匿名組合(商法535条の匿名組合契約により成立)
投資事業有限責任組合(投資事業有限責任組合法に基づき成立)
有限責任事業組合(有限責任組合契約に関する法律に基づき成立)

各組合の特徴

上記の4つの組合の特徴を整理すると次の表のとおりになります。

  メリット デメリット 事例
民法組合 業務を執行する組合員にとって設立・運営の負担が比較的少ない。 業務を執行しない組合員(一般の出資者)でも無限責任。 ジョイントベンチャー(共同企業体)など
匿名組合 一般の出資者は有限責任。 組合財産は業務を執行する組合員(営業者)に帰属する。 太陽光発電事業など
投資事業
有限責任組合
一般の出資者は有限責任。
登記、監査などがあり、一般の出資者の信用を得やすい。
業務を執行する組合員にとっては、登記、財務諸表作成・備置き、監査対応など比較的負担が大きい。 ベンチャー企業への投資など

②法人型

法人型は、会社法などにより設立される各種の法人を用いる形態のファンドです。証券化などのストラクチャードファイナンスにおいてヴィークル(器としてのペーパーカンパニー)として用いられる会社は、特にSPC(Special Purpose Company)と呼ばれます。
よく用いられる法人としては、次の4種類の法人が挙げられます。このうち下の2つは、ファンドにのみ用いられる専用の法人です。

合同会社(会社法に基づき設立)
株式会社(会社法に基づき設立)
特定目的会社(特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律により設立)
投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律により設立)

各法人の特徴

上記の3つの法人の特徴を整理すると次の表のとおりになります。

  メリット デメリット 事例
合同会社 登録免許税(印紙代)の額が小さい。
役員の任期に制限がない。
決算公告が義務づけられていない。
社員全員が有限責任。
株式会社に比べてマイナーな印象がある。 比較的小規模の会社、外国企業の日本法人など
株式会社 一般的であり、信用がある。 登録免許税の額が大きい。
役員の任期が終了したら株主総会で選任し、登記する必要がある。
決算公告をしなければならないことになっている。
特定目的会社 一定の要件を満たすと登録免許税が減免される。
機関構成がシンプル。
特定の資産以外の資産の運用は原則として認められない。 不動産の証券化など

③信託型

信託型は、委託者により信託された資産が受託者により運用され、その収益が受益者に配分されるという「信託」の仕組みを用いたファンドです。代表的なものとして、次の2つが挙げられます。

投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律に基づき成立)
特定目的信託(資産の流動化に関する法律に基づき成立)

上記はあくまで主なものの例示です。上記以外であっても、「投資家からお金を集めて、その集めたお金を何かに投資し、収益を分配するようなもの」であれば、ファンドとして法規制の対象となります。

ファンドには、ここでご紹介したものを始め、それ以外にも様々な形のものが考えられます。

それらのファンドのうち、一般の方にもっとも馴染みがあるのは、証券会社や銀行の窓口で販売されている投資信託(③信託型に分類)ではないかと思いますが、組成のためのハードルが高いことから、ファンドを作ろうとする事業者の中でこの選択肢をとれる方は多くは有りません。

そこで、一般に、現在作られる「ファンド」のうち多くは、この①組合型のうち「民法組合」「匿名組合」「投資事業有限責任組合」の3つを用いたものとなっており、私たちが過去お手伝いさせていただいた様々な案件を見ても、この3種の組合が大半を占めています。

これらは法律上は「集団投資スキーム」と呼ばれ、金融商品取引法(金商法)上の2項有価証券として取り扱われることから、その取扱いには、金融商品取引業者としての登録またはそれに代わる届出が必要とされています。

(これらファンドを運営するのに必要な手続、許認可については、こちらの記事でご説明しています)

上でも言いました通り、私たちは普段、広い意味のファンドの中でも主にこの「集団投資スキーム」の組成をお手伝いすることが最も多く、特に断りなく「ファンド」という言葉を使用する場合には、この集団投資スキームを指して説明していることがほとんどです。