ファンドを運営するのに必要な手続、許認可

ファンドを運営するのに必要な手続、許認可

ファンドを組成する場合、例えば組合契約で出資者を募る場合には、原則として「金融商品取引業」の登録をする必要があります。(ファンドとは何かやその種類については、こちらの記事でご説明しています)

これは、金融商品取引法によって、ファンドの募集または私募を行うことが「金融商品取引業」に該当し、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができないとされているためです。 金融商品取引業と一言で言っても、その中身はさらに4つの区分に別れています。ファンド組成の説明をする上で最低限必要な範囲で簡単にまとめると次のようになります。

第一種金融商品取引業

株式や社債など主に金商法2条1項の有価証券の販売・勧誘をする場合や顧客資産の管理の業務等を行う場合に必要な登録です。証券会社はこの第一種金融商品取引業の登録を受けています。

第二種金融商品取引業

主に金商法2条2項の有価証券の販売・勧誘等を行う場合に必要な登録です。ファンドはこの「金商法2条2項の有価証券」にあたりますので、販売・勧誘を行うには、第二種金融商品取引業の登録を受ける必要があります。

投資運用業

投資運用に関する業務を行う場合に必要な登録です。ファンドで集めた資金を運用する際にも、運用先が株式等の有価証券である場合にはこの投資運用業が必要になります。

投資助言・代理業

投資助言に関する業務や、投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理・媒介を行う場合に必要な登録です。

ファンドを運営するケースでは、上記の通り、第二種金融商品取引業の登録を受ける必要があることになります。 また、ファンドというのはただ資金を集めただけでは意味が無く、集めた資金を運用することに意味があるわけですが、そうなってくると投資運用業にも登録する必要が出てきそうです。お金を集める部分=第二種金融商品取引業、集めたお金を運用する部分=投資運用業、ということです。

ただし、投資運用業は、株式等の有価証券で運用する場合に必要となるものですので、例えば集めた資金でメガソーラー発電所を作り発電事業を行うような場合には、資金は発電事業に使用され、有価証券には投資されていないため、投資運用業は必要ありません。

このようなファンドは事業ファンドと言われます。
もっとも、全てのケースで登録をする必要があるわけではなく、例外があります。それが次の2つの場合です。

一つは、募集や運用を、登録を受けている金融商品取引業者に委託する場合です。
(なお、時々ご相談をいただくのでこちらに書いておきますが、私どもでお付き合いのある金融商品取引業者をご紹介することも出来なくはありません。ただし、契約には紹介先の金融商品取引業者様の厳しい審査を通過していただく必要があり、何らお約束できるものではございません)。

もう一つは、金融商品取引法に規定されている「適格機関投資家等特例業務」という方法で行う場合です。

適格機関投資家等特例業務とは、1名以上の適格機関投資家(法令で定められたプロの投資家)と49名以下の一般投資家にファンド持分を取得させる(=ファンドを売る)場合であって、その他法令で定められた要件を満たす場合には、事前に届出を行うことにより、金融商品取引業の登録を受けずにファンドの運営ができるようになるというものです。

簡単に言えば、1名の適格機関投資家から投資してもらえれば、49名までの一般投資家から金融商品取引業の登録なしで投資してもらうことができるということです。ただし、この一般投資家というのは、以前は本当に誰でもいい、一般の投資家だったのですが、2015年の法改正により特定の条件(代表的な条件は、投資性のある金融資産が1億円以上)を満たした投資家に限定されています。古い情報を元に行動しないよう十分注意してください。

一見簡単なようですが、この特例業務は適用対象外となってしまう例外がとても多く、気をつけないとすぐに違法行為になってしまいますので、細心の注意を払う必要があります。

なお、これらの登録や届出の手続を実際に行う場合の要件や注意点については、こちらの記事で解説しています。