公益法人設立(公益認定)概要

公益法人設立(公益認定)概要

公益社団法人と公益財団法人は、公益活動を行っておられる方をはじめ、時には相続税対策等の動機により、どうしても作りたいと希望される方が少なくない法人形態ですが、これらを設立することは出来ず、最初は一般社団法人又は一般財団法人を設立した上で、移行することになります。

一般社団法人・一般財団法人から公益法人に移行するためには、内閣府または都道府県の認定(公益認定)が必要となります。 認定を受けると、社会的信用度がぐっと上がる、税制上の優遇が受けられるなどのメリットがあります。 認定を受ける前段階の一般法人は登記だけで比較的簡単に設立することができますが、公益認定を受けるための基準は沢山あり、その基準を満たしているかどうかの判断を始め、認定が下りる可能性までの判断はかなり難しいと言えます。

また、実際に準備を整え、申請してから認定を受けるまでの期間も早くても4ヶ月程度かかります。さらに、認定を受けた後も毎年の事業報告・予算の提出や、立ち入り検査などもあるため、法人の運営をきちんと行っていく必要があります。そのため、認定を受けるための準備から認定を受けるまではもちろんのこと、認定後の運営についてまでの長いスパンで慎重に進めて行かなくてはなりません。

公益認定の認定基準は次の通り定められています。

認定基準

  1. 公益目的事業を行うことを主たる目的としていること。
  2. 公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有すること。
  3. 社員、評議員、理事、監事、使用人その他法人の関係者等に対し特別の利益を与えないものであること。
  4. 株式会社その他の営利事業を営む者や特定の個人・団体に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。
    ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。
  5. 投機的な取引、高利の融資事業など公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくない事業を行わないものであること。
  6. 公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれること。
  7. 収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
  8. 公益目的事業比率が100分の50以上となると見込まれるものであること。
  9. 遊休財産額が一定額を超えないと見込まれること。
  10. 同一親族等の人数が理事又は監事の3分の1を超えないこと。
  11. 一定規模以上の法人については、会計監査人を置いていること。
  12. 役員に対する報酬等について、民間事業者の役員報酬、従業員給与等を考慮し、不当に高額なものとならないような支給基準を定めていること。
  13. 他の団体の意思決定に関与する事が出来るだけの株式などの財産を保有をしていないこと。
  14. 公益目的事業を行うために必要不可欠な特定の財産がある時は、その旨並びにその維持及び処分の制限について必要な事項を定款で定めていること。
  15. 公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合、公益目的で取得した財産の残額相当額を類似の事業を目的とする他の公益法人等に贈与する旨を定款で定めていること。
  16. 清算をする場合において残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人等に帰属させる旨を定款で定めているものであること。

その他、公益社団法人設立にあたっては、社員の資格の得喪に関する条件や、理事会設置義務などもございます。