STEP5 定款を作成する

次は定款の作成です。定款は会社の憲法にも例えられますが、会社の運営について定めた根本の規則です。

第○条~という形で条文を作らなければなりませんし、しかも法律で決められた内容を盛り込まないといけなかったりして、一般の方が一から作るのはちょっと無理かもしれません。

といっても、当サイトをご覧のあなたは、心配ご無用です。(チ)で決めた会社タイプごとに、定款のひな型をご用意していますので、説明に従いチェックシートの内容を転記していけばすぐに完成します。

株式会社の場合、定款を作成しただけでは効力が生じず、「公証役場」というところで、定款が法律で決められた通りの内容に作られているかどうかのチェックをしてもらう(認証といいます)必要があるのですが、合同会社の場合はその必要はなく、ご自分で定款を作成するだけで効力が生じます。

ただし、注意しなければならないのは、通常の紙の定款を作成した場合には、その定款に4万円分の収入印紙を貼らなければならないということです。出費がかさむ会社設立時、4万円は痛い出費です。

合同会社には、株式会社と違って印紙を貼った定款をどこかに提出するという手続きがないため、印紙を貼らなくとも会社の設立自体は可能です。しかし、それは立派な脱税です。税務調査の時に指摘されてあわてないように電子定款にされるか、もしくはきちんと印紙を貼られることを強くおすすめいたします。

ところが・・。この収入印紙を貼らなくとも済む方法があります!

それは、定款電子定款で作成するというものです。

紙の定款と電子定款の費用比較

紙の定款 電子定款
必要費用 4万円
(印紙税4万円)
0円
(印紙税不要)

ご覧の通り、電子定款には印紙税が課税されないことから、その分の4万円が安くなります!あえて4万円も高い方法をとるメリットはありませんので、このサイトでは電子定款を作成することを前提に説明を進めさせていただきます。

電子定款の作成方法

(1)インターネットに接続されたウィンドウズOSパソコン

Windows 11もしくは10がインストールされたパソコンが必要です。

(2)文書作成用のソフトウェア(Word、一太郎など)

(3)PDF変換ソフト (Adobe Acrobat[Standard又はPro]・SkyPDF)」

AcrobatはPDFファイルを作成するためのソフトです。無償のAcrobat Readerとは違います。PDF化するだけならば他にも同じようなソフトはあるのですが、法務省が登記・供託オンライン申請システムにおいて動作確認しているPDF変換ソフトは、上記のみですので、注意してください。なお価格ですが、Adobe Acrobat Pro2020は86,660円、Standard2020は54,920円(いずれも2024年4月現在の永続ライセンス価格、他にサブスクリプションライセンスもあるので、詳細はご確認ください)となっています。

(4) 次のいずれかの電子証明書を取得します。

A 「商業登記に基づく電子証明書」

https://www.moj.go.jp/ONLINE/CERTIFICATION/index.html

B 「電子認証サービス(e-probatio PS2)」(NTTビジネスソリューションズ株式会社)

https://www.e-probatio.com/

C 「セコムパスポート for G-ID 電子証明書」

https://www.secomtrust.net/service/ninsyo/forgid.html

D 「公的個人認証サービス」(地方公共団体)

https://www.jpki.go.jp/

一般の個人の方ですとDの「公的個人認証サービス」が適当だと思います。マイナンバーカードで利用でき、住んでいる自治体の役所で手続きが可能です。ただし、その場合は別に適合性検証済のICカードリーダライタを購入しなければなりません。

(5)PDF文書に電子署名し、認証済文書を確認できるソフト

A 登記・供託オンライン申請システムよりダウンロード

B 日立製作所「商業登記署名プラグイン・署名プラグイン TYPE-J」18,900円
日立製作所「電子公証クライアントA」20,790円

C (株)リーガル「電子認証キット PRO Ver.3.00」15,750円

その2 作成した定款をPDF化し電子署名をする

(1)Word、一太郎などで作成した定款の電子ファイルをAdobe Acrobatを利用してPDF化します。

(2)作成したPDFファイルに電子署名をします。

(3)電子署名が付されたPDFファイルが定款の原本となりますので、FDやCDに入れて大事に保存してください。

と、ここまで読んでお分かりのように、一から揃えると電子認証で安くなる4万円以上の費用が かかってしまい、かえって高くなってしまいます。また、この後のページで詳しく説明していますが、認証の手続き自体も複雑でかなり面倒です。

そこでおすすめの方法が、この定款の電子認証の部分のみを行政書士に依頼するというものです。この場合はご自分では特に何も用意することなく、行政書士に支払う報酬分の負担だけで定款認証ができます。

自分で電子認証 行政書士に依頼
用意するもの (1)電子証明書
(2)PDF変換ソフト
(3)電子署名ソフト
なし
かかる費用 (1)(2)(3)の代金(4~7万円) 行政書士への報酬
かかる手間 諸手続き、公証役場への出頭 行政書士によるが特に無いのが通常

気になる報酬ですが、もちろんどの行政書士も4万円よりは安い額ですが、ばらつきが大きく様々です。どこで認証を受けるのかにもよりますが、一番安い東京都で最安値が1万円ほど、他の県は1万円台後半ならばかなり安いほうで、平均値としてはどちらも2~3万円の間といったところでしょうか。

なお、行政書士法人トラスティルでも、電子定款の作成・認証を承っております。起業される皆様を応援するために一般よりもかなり割安な価格を設定させていただいております。興味のある方は、会社設立・経営サポート「電子定款作成」のサイトをご覧ください。

行政書士に電子定款の作成を依頼されるという方は、この下にある定款ひな型から、「行政書士に依頼」の方をダウンロードしてご利用ください。

さあ、電子定款についてご理解いただいたところで、いよいよ実際に定款を作成していただきます。チェックシートの(チ)でマルをしていただいている会社のタイプごとに、自分で電子定款を作成される場合と行政書士に依頼される場合の2つのパターンのひな型をWord形式のファイルでご用意しています。ご自分にあったものをダウンロードして、書き方のページを参考に記入していってください。

会社のタイプ 自分で電子認証 行政書士に依頼 書き方ガイド
【A】
(社員1名)
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【B】
(業務執行社員1名・その他社員)
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【C】
(業務執行社員複数・代表社員1名)
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【D】
(業務執行社員複数・その他社員)
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※行政書士に依頼するパターンのひな型は、「行政書士法人トラスティル」に依頼するように作らせていただいておりますが、他の行政書士に依頼する場合であっても「行政書士法人トラスティル」を依頼した行政書士の名前にを変えるだけで問題なくお使いいただけます。

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