自分でできる会社設立

STEP1‐③ 事業目的を決める

(ハ)会社の事業目的

さて、次は会社の事業目的ですが、これは基本事項の中で一番やっかいな項目かもしれません。

事業目的とは、設立する会社が行う事業・ビジネスの内容のことです。
例えば、「出版業」といったものです。

会社は、事業目的として決めた以外の事業をしてはならないとされているため(別にやったら警察に捕まるとか、そういう話ではありませんが)、事業目的は将来行うかもしれないビジネスまで見据えて、慎重に決定する必要があります。もちろん後に事業目的の変更・追加を行うことは可能ですが、その場合は手間も費用も余計にかかってしまいます。

さて、それでは事業目的を決める際の注意点をご説明します。
事業目的は、次の3つの条件を満たす必要があります。

①明確性 どんな事業か一般の人によく分からないものはダメです
②営利性 直接利益を上げるためのものである必要があります
ダメな例・・「政治献金」「福祉施設への寄付」※1
③適法性 違法なビジネスを目的にはできません
ダメな例・・「覚醒剤の製造および販売」
※1 事業目的とするのがダメなだけで、会社が実際に献金や寄付を行うことは可能です。

②③は常識で判断いただけると思いますが、難しいのが①の明確性です。
一般の人に分かるかどうかというのは、時代によっても変わってきます。例えば、十数年前であれば「インターネット」という言葉は一般の人には何のことか意味が分からない、明確性に欠けるものだったと思われますが、現在なら多くの人が分かるものとなっています。

では、どうしたらよいかというと次の3つの方法があります。

①同業他社の目的を真似する
すでに認められて登記がされている会社の目的であれば間違いなく条件を満たしています。会社の事業目的は登記事項証明書(いわゆる謄本です)に載っていますので、手数料1000円がかかりますが、参考にしたい会社のものを法務局で請求して持ち帰り、一字一句写してしまいましょう。
※俗に言うパクリですが、これについては何の問題もないので安心して下さい。

②事例集で確認する
過去に審査された目的について、認められたかどうかが載った厚い事例集が発行されています。

実は2006年の新会社法の施行に伴って、目的の審査はかなりゆるくなっています。事例集の事例は、厳しい時代に審査され、認められてきたものですので、事例集で認められているものを書けばまず大丈夫です。

ネックなのは、事例集がわりと高価なことですが、法務局に行けばこのような事例集が閲覧できるようになっています。

③法務局の相談員に確認してもらう
一番確実な方法です。法務局には相談コーナーが設けられていますので、事業目的の案を持って相談してきて下さい。この相談でOKをもらっておけば、安心です。詳しくは、のちほど「法務局へ行く」でご説明いたします。



許認可を受けられる方へ
さて、許認可を受ける予定の方が、最も注意しなければいけないポイントが、この事業目的です。許認可によっては、目的に所定の事項が記載されていることが、その許認可を受けられる条件になっているのです。
例えば、人材派遣会社を営むために必要な「労働者派遣事業許可」を受けるには、目的に「労働者派遣事業」が入っていることが必要です。よくご確認下さい。

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