STEP5‐② 電子認証の方法~前編

さて、実際に電子認証をするにはどうしたらいいのでしょうか?

電子認証の大まかな流れはこのようになっています。

その1 電子定款作成・認証に必要なものを用意する

その2 登記・供託オンライン申請システムに登録・利用準備をする

その3 事前に公証役場に定款案を送りチェックを受け認証日を打ち合わせる

その4 定款をPDF化し電子署名を付し、認証日に登記・供託オンライン申請システムを利用し認証を申請する

その5 公証役場に出向いて、本人確認の上、手数料を支払い、同一の情報の提供(定款の謄本)を受ける

次に、この流れに沿って必要なものなどをご紹介していきます。

その1 電子定款作成・認証に必要な以下のものを用意する

(1)インターネットに接続されたウィンドウズOSパソコン

Windows 11もしくは10がインストールされたパソコンが必要です。

(2)文書作成用のソフトウェア(Word、一太郎など)

(3)PDF変換ソフト (Adobe Acrobat[Standard又はPro]・SkyPDF)」

AcrobatはPDFファイルを作成するためのソフトです。無償のAcrobat Readerとは違います。PDF化するだけならば他にも同じようなソフトはあるのですが、法務省が登記・供託オンライン申請システムにおいて動作確認しているPDF変換ソフトは、上記のみですので、注意してください。なお価格ですが、Adobe Acrobat Pro2020は86,660円、Standard2020は54,920円(いずれも2024年4月現在の永続ライセンス価格、他にサブスクリプションライセンスもあるので、詳細はご確認ください)となっています。

(4)次のいずれかの電子証明書を取得します。

A 「商業登記に基づく電子証明書」

https://www.moj.go.jp/ONLINE/CERTIFICATION/index.html

B 「電子認証サービス(e-probatio PS2)」(NTTビジネスソリューションズ株式会社)

https://www.e-probatio.com/

C 「セコムパスポート for G-ID 電子証明書」

https://www.secomtrust.net/service/ninsyo/forgid.html

D 「公的個人認証サービス」(地方公共団体)

https://www.jpki.go.jp/

一般の個人の方ですとDの「公的個人認証サービス」が適当だと思います。マイナンバーカードで利用でき、住んでいる自治体の役所で手続きが可能です。ただし、その場合は別に適合性検証済のICカードリーダライタを購入しなければなりません。

(5)PDF文書に電子署名し、認証済文書を確認できるソフト

A 登記・供託オンライン申請システムよりダウンロード

B 日立製作所「商業登記署名プラグイン・署名プラグイン TYPE-J」18,900円
日立製作所「電子公証クライアントA」20,790円

C (株)リーガル「電子認証キット PRO Ver.3.00」15,750円

と、ここまで読んでお分かりのように、一から揃えると電子認証で安くなる4万円以上の費用が かかってしまい、かえって高くなってしまいます。また、この後のページで詳しく説明していますが、認証の手続き自体も複雑でかなり面倒です。

そこでおすすめの方法が、この定款の電子認証の部分のみを行政書士に依頼するというものです。この場合はご自分では特に何も用意することなく、行政書士に支払う報酬分の負担だけで定款認証ができます。しかも依頼する行政書士によっては、郵送での対応をしてもらえますので、ご自分が公証役場に行く必要もなくなり、一石二鳥です。

自分で電子認証 行政書士に依頼
用意するもの (1)電子証明書
(2)PDF変換ソフト
(3)電子署名ソフト
なし
かかる費用 (1)(2)(3)の代金(4~7万円) 行政書士への報酬
かかる手間 諸手続き、公証役場への出頭 行政書士によるが特に無いのが通常

気になる報酬ですが、もちろんどの行政書士も4万円よりは安い額ですが、ばらつきが大きく様々です。どこで認証を受けるのかにもよりますが、一番安い東京都で最安値が1万円ほど、他の県は1万円台後半ならばかなり安いほうで、平均値としてはどちらも2~3万円の間といったところでしょうか。

なお当サイトを運営しているトラスティルグループでも、行政書士部門である行政書士法人トラスティルが中心となり、電子定款の作成・認証を承っております。起業される皆様を応援するためにご利用いただきやすい価格を設定させていただいております。興味のある方は、トラスティルグループが運営する電子定款作成サービスのサイトをご覧ください。

行政書士に電子認証を依頼される方は、次のページは飛ばして、STEP6定款を作成するで、「行政書士に依頼」の方の定款ひな型をダウンロードしてください。

元から「Adobe Acrobat」を持っている方などで、ご自分で電子認証をなさる方は、引き続き「後編」としてその3以降のご説明をしておりますので、次のページへとお進みください。ただ、こればかりは法務省が穀した元のシステムが使いにくいものなので「分かりやすい!」と胸を張ることができません。いろいろと手間がかかるかもしれませんが、頑張って進めてください。

なお、電子認証手続きについて理解を深めるには、法務省作成のご利用の手引きも参考になるかと思います。

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